健康な血管の採取方法

切開法

これまでは、大伏在静脈の採取では足首から脚の付け根まで長い切り込みを入れる必要がありました。この処置は、胸部を切開する場合に比べて大きな痛みが伴うこともありました。また、感染の危険も大きく、患者様に残った傷は、回復した後も長く心の傷にもなっていました。

ブリッジング法

ブリッジングでは、7cmくらいの比較的小さな切開を数か所に入れ、大伏在静脈を採取します。この方法も、上記の切開法のように、感染、痛み、腫れなどの合併症の危険が伴います。また、この手術では、静脈にかかる張りが大きく、最近のデータでは、ブリッジングされた血管がうまく機能しない場合があるという報告もあります。

内視鏡下血管採取術(EVH)

現在、もう1つ、約2 cmのごく小さな切開で済む方法が行われています。EVHと呼ばれる内視鏡下血管採取術で、脚の伏在静脈や腕の橈骨動脈の採取に使用できます。

EVHでは特殊な器具を使い、小さな切開を通して血管を見ながら採取します。EVHでは、痛みや傷跡がはるかに少なくて済み、患者様の回復が速く、通常の運動機能もすぐに取り戻せるため、早期に心臓のリハビリプログラムを開始できます。

複数の臨床研究から、内視鏡下血管採取術を使った場合の重要な利点が明らかになっています。たとえば、以下の通りです。

  • 感染や創合併症の危険性が著しく低い
  • 術後の痛みと腫れが少ない
  • 傷跡が最小限に抑えられ、回復が速い
  • 患者様の満足度が高い

EVHは、患者様の身体への負担が少ない低侵襲の治療法です。米国では標準的な治療法であり、心臓手術を実施するほとんどの病院で行われています。ただし、個人差があるため、治療法の選択では必ず医師とご相談ください。